「うん ママ心配しないで」


『自分の娘なんだからいつも心配しているわよ』


「わたしもママが心配だよ でも春樹おじさんがいるから安心してる」


鼻をすすらないように気をつけながら話す。



『ママも雪哉君がいてくれるから安心しているわ 何かあったら雪哉君に相談なさいね?』


「うん」


話をしている間に雪哉はいなくなっていた。




借りていた携帯電話を持ってリビングに行った。


「いない……部屋かな……」


杏梨は雪哉の部屋をノックした。


が、返事はない。



携帯電話を部屋に置いておこうとドアを開けた。



ゆきちゃんのお部屋に入るのは初めてだ……。


目に入ったのは部屋の中央にある大きなベッド。


テーブルに置こうとした時、奥のドアがカチャと開いた。


雪哉がバスローブ姿で現れたのだ。



「ゆ、ゆきちゃん 携帯ありがとう」


初めて見るバスローブ姿を意識してしまう。