Ｌｏｖｅ Ｓｔｅｐ

雪哉はオフィスに置いてきた杏梨が心配で客を見送ると足早に向かった。


要望が多く思ったより時間がかかり待たせてしまった。


途中、様子を見に行けず杏梨に申し訳ないと思う。


怒っているだろうか、


自分のオフィスのドアを小さくノックして中へ入る。



「杏梨、遅くなってごめん」


そう言って入ったのだが、ソファーの上で丸くなって眠っている杏梨がいた。


「杏梨……」


無防備で眠っている姿は天使のように見える。


近づきそっと杏梨の頬に手を触れる。



俺の事を男として見ているのだろうか？


それともだたの兄として見ているのだろうか？



杏梨が受けた傷をゆっくり治してあげたいが、待ちきれなくなっている自分がいた。



今抱きしめたらどんな反応をするのだろうか？


そんな事を考えている自分を笑う。


そんな危険な賭けは出来るわけが無い。



雪哉は少し離れると杏梨を呼ぶ。


「杏梨？」


雪哉が名前を呼ぶとビクッとして杏梨はすぐに起き上がった。


「ゆ、ゆきちゃん」


自分がどこにいるのか分からない状態で目をぱちくりさせている。