Love Step

彩は女優生命などどうでも良かった。


どうでも良いから親友の晴美に記事にしてもらったのだ。


杏梨を陥(おとしい)れる為に。


この事で雪哉の気持ちが自分に向いてくれると信じているのだ。



この子は晴美に何も言っていない。

だけど私は彼女が記者に言ったのだと断固言い張るしかない。



ふと、杏梨の手にしている名刺が目に留まった。



あれは?



雪哉は黙って記事を読んでいた。


そして雑誌を閉じると首を軽く振りながら小さなため息を吐いた。


「彩、これは杏梨が話したものではないと思うよ」


「雪哉さん!?」


「運転をしていたのは峻くんだろう?ここには君が運転していたと書かれている 杏梨が話したのなら峻君が運転したというはずだろう?」


それを聞いて杏梨は嬉しかった。


嬉しくて涙がこみ上げてくる。



ゆきちゃんは信じてくれる。