杏梨を追いかけた雪哉が見たのはその時だった。
相手の女性に杏梨は首を横に振り、駆け出した。
「杏梨?」
走っていく杏梨に気を取られている隙に、杏梨と話をしていた女性は雪哉の視界から消えた。
誰なんだ?勧誘か?
真っ直ぐな道なのに姿が杏梨の姿が見えなくなった。
雪哉は舌打ちして走り出した。
少し行くと、ビルの間の路地にうずくまっている杏梨を見つけた。
「杏梨!?」
ゆき……ちゃん……?
今にも吐いてしまいそうな杏梨の耳に雪哉の声が聞こえた。
その声に一瞬、吐き気も止まるほど安堵した。
うずくまる背中を擦ってくれる。
「全部吐き出したほうが良い」
吐きたいのに吐けなかった。
頭もガンガンしてきてどうしようもなかった。
「……ダメ……はけ……ない……」
「可哀想に、昼は何を食べた?」
「……風邪だよ……きっと……」
食べ物ならわたしと一緒に食べた琴美さんも気分が悪くなっているはずだもん……。
帰る間際に見かけた琴美さんは元気そうだった。
体がグラッと揺れる。
「杏梨!」
雪哉は杏梨を抱き上げると駐車場へ向かった。
相手の女性に杏梨は首を横に振り、駆け出した。
「杏梨?」
走っていく杏梨に気を取られている隙に、杏梨と話をしていた女性は雪哉の視界から消えた。
誰なんだ?勧誘か?
真っ直ぐな道なのに姿が杏梨の姿が見えなくなった。
雪哉は舌打ちして走り出した。
少し行くと、ビルの間の路地にうずくまっている杏梨を見つけた。
「杏梨!?」
ゆき……ちゃん……?
今にも吐いてしまいそうな杏梨の耳に雪哉の声が聞こえた。
その声に一瞬、吐き気も止まるほど安堵した。
うずくまる背中を擦ってくれる。
「全部吐き出したほうが良い」
吐きたいのに吐けなかった。
頭もガンガンしてきてどうしようもなかった。
「……ダメ……はけ……ない……」
「可哀想に、昼は何を食べた?」
「……風邪だよ……きっと……」
食べ物ならわたしと一緒に食べた琴美さんも気分が悪くなっているはずだもん……。
帰る間際に見かけた琴美さんは元気そうだった。
体がグラッと揺れる。
「杏梨!」
雪哉は杏梨を抱き上げると駐車場へ向かった。


