素直にキスを返してくる杏梨に雪哉はいつもより濃厚なキスをしていた。


目を閉じて一生懸命に答えようとする杏梨。


嫌がっていない事が嬉しい。


雪哉は杏梨を抱き上げるとソファーの上に降ろした。


降ろされた杏梨は驚いた顔で雪哉を見ている。



「ゆきちゃん!?」


「次のステップな?」


「つ、次のステップって……?」


思わず身構えてしまう。


それが分かった雪哉は優しく微笑む。


「嫌悪感は?」


杏梨が嫌悪感を感じたのならすぐにやめなくてはいけない。


「ないけど……」


大きくかぶりを振る。


「良かった」


嫌悪感どころか、次に何が起こるのかドキドキする。


これは確かに嫌悪感じゃないと言える。


フッと笑った雪哉の顔が近づいてきた。


そして再び唇が重なる。


ゆっくり確かめるようなキスから深いキスへ変わっていく。


そして唇から頬に移り、耳朶を甘噛みされる。


「っ……あ……」


「愛している 杏梨」


耳元で甘い言葉を囁かれて今まで感じたことのない感覚に胸がキュンとなる。


もう一度耳たぶを甘噛みされて杏梨の吐息が漏れる。


「耳、気持ちいい?」


「ん……わ、わからない……よ」


素直に言えない意地っ張りな杏梨に雪哉は顔を覗き込みクスリと笑う。


「素直じゃない子はおしおきだな」


「え!?」


S的な発言に雪哉の顔を見ようとしたが、すぐに首元に屈みこまれてしまい表情が見えなくなる。


次の瞬間、首筋にチリッと痛みを感じた。


「あっ!」


「痛い?」


「い、今の何っ?」


雪哉の満足したような顔を見た杏梨はキョトン顔だ。


痛みを感じた場所へ右手を持って行く。


「キスマーク」


こんなのも分からないなんて可愛すぎるだろ。


純真無垢な杏梨にどんどん惹かれていく。