「えっ、と…たぶん、どこにも入らないと思う」



 動揺を隠しつつ、曖昧に笑った。

 誰かと何かを共有しながら、話をしたり体を動かしたり……そういう事は、あまり得意じゃない。


 それよりも、一人で本を読んでいる方が好き。



「どうして?文芸サークルに入らないの?よく、本読んでるよね?」



 溝口君は、私の手の中の文庫本を指差した。