「笠井さんは、サークル何に入ったの?」



 唐突に掛けられた声に振り返り、そこに立つ人物に目を瞬いた。



「私……?」

「うん、そう」


 聞き直すと、満面の笑みで頷き返される。



 なんで?
 なんで、私?



 入学して間もないながらも、既に取り巻きが大勢いる程の人気者の、彼と。
 私の接点は、皆無。

 同じクラスではあるけれど、大学のクラスなんてあってないようなもの。
 同じ講義を受けてる訳でも、ない。

 だから彼、溝口君が私の名前を知っている事に驚いた。