だって、そうでしょう?


 私が、私が好きなのは―――…





「はぁっ、はぁっ…」



 胸が苦しくて、視界が滲む。

 立ち止まり肩で息をしながら、樹に体を預けた。


 閉じた瞳から、涙が一筋零れる。




 ―――どうして。


 どうして、こんな時にも、私は淳兄の顔が思い出せないの……?


 お願い、淳兄。


 消えてしまわないで。

 ずっとずっと、


 ここにいて………