教室ではすでに国語教師がいた


「1点加点だ石動。席につけ」


それだけで済んだことに拍子抜けし、呆然と立ったままなオレに更に教師が口を開く


「なにボーっとしてるんだ?」


「1点加点って何ですか?」


「そうか知らないのか。説明してやるからさっさと席につけ」


その言葉ようやくすることを思い出し、席につく


「まず自己紹介な。福島誠司(ふくしませいじ)国語の担当だよろしく」


福島先生は男らしい人だった。短い髪に太い眉。体型も照準といったとこ


「点のことだけどな。この高校では加点式である程度溜まると罰があるんだ。例えば10点でトイレ掃除とかな」


うわぁ地味に嫌だな


「ってことはオレも10点になったらトイレ掃除を一人でやるんですか?」


「いや、これは例え話だ。


一昨年まではそうだったんだが、今はもう少し複雑でな。基準点以内なら担任がある程度罰を決められるんだ。


担任の罰を履行した時点で罰則点はリセットされるし、罰の内容も生徒会に許可をもらわなきゃならん決まりだから安心しろ


それに今じゃほとんどの教師がやらせることなんて雑用くらいだしな」



めんどくせぇ


なんか手続きが複雑化しただけの嫌そうなシステムだな



「ここの担任は誰だった?」


「千・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・宮下先生です」


「よし。授業を再開する」


「ちょっと待ってください。なんですかその露骨な方向転換は。不安になるじゃないですか」


「俺から言えることは一つだ。頑張れ」


「うわわゎゎあああぁぁぁぁぁぁ、何その不吉な言動。千、宮下先生ってそんなに厳しい罰をするんですか?」


「内容については生徒会が何も言っていないとこを見るとそうでもないんだろうが、ただ二度と違反する気は無くなるみたいだ。


震える生徒を職員棟で何人か見たし、遅刻常習犯が改心したのも宮下先生の罰の後だ」


最悪だぁ。なんでオレこんなに不幸なんだ?なんか憑いてるとしか思えないくらいの不幸さだ。


「さて。じゃあこの話は終わりにして。授業を再開するぞ」