「兄貴暇でしょ?暇だね。おれにちょっと付き合って」



オレの手をつかもうとする清の手を避ける



不思議そうに振り返る清に「やることがあるんだよ」と言ってみる



「大丈夫。オレの用事の方が重要だから」


その言葉に希望を見つけた


それが本当ならオレは担任を起こさなくてよくなる


長だってそこまでの無理強いはしまい


まぁ別のを命じられそうだが、その時はその時


「その用事ってなんだ?」


「もちろん10組の子を見に行くこと。可愛い女の子を見に行くこと以上に大事なことなんてないでしょ」


自信満々に言い放つ清


清に一瞬でも期待したオレがバカだった



「そんなわけあるか!!!!!」


遠くから響く長の声と清のこめかみを正確に射貫く物体


多分長が投げたのであろう


それにしてもこの距離で人体の急所を正確に射貫くとは


やっぱり長に逆らってはいけません


清だから生きているのですって感じだな



って長ぁぁぁぁ


オレの筆箱じゃんこれ。しかも担任の頭上にヒットしてるし


のそりと担任の体が動く



ヤバイ。逃げなきゃ


あ。



―――――――――筆箱



その一瞬の迷いが明暗を分けた



筆箱を諦め



一歩進んだがそこまでだ




捕まった



頭に激しい痛み


ってちょっと待て普通アイアンクロ-で止めるか!?


無茶苦茶だと内心嘆いていると軽く後ろに引っ張られた