光っていたのは、 誰かの家じゃなく、 ――『桜』だった。 他のどの木よりもどっしりとしていて、強い風にも動じない、静かに佇む桜。 もうとっくに夏なのに、花びらが散りおわることはなく、 満開の桜が 暗闇に青白く、 妖艶に輝いていた。