「情けないところを

見られてしまったな」



お父さんは気さくに笑う。


「俺のこと怒ったくせに」



隣にいたキヤは涙を浮かべて言った。




「あぁ、それは悪かった」


お父さんは申し訳なさそうにキヤの頭を撫でる。




「そう思うなら“ごめんなさい”だろ」


すっかり不機嫌なキヤが言う。


お父さんは「参ったな」と笑ってから


ちゃんと「ごめんなさい」と謝った。



「今度、二人にお母さんに内緒で

プリン買ってきてやるから」


お父さんは口元に人差し指を当ててから


去っていく。