「でもケンカしたばっかだよ??」
「平気」
キヤが大きくドアを開けて
飛び出すとばったりお父さんと出くわしてしまった。
声を上げようとしたキヤの口を
お父さんが素早く手でふさいだ。
と、同時に黒い長方形のケースが音を立てて落ちる。
その音を聞いてお母さんがこちらに飛び出してきた。
「またバンドなんかに行こうとして!!」
お母さんがお父さんに罵声を上げる。
お父さんは叱られた子どものようにしゅんっとした顔をする。
お母さんは呆れたように溜め息をし
リビングへ戻っていく。
僕たちはお父さんを見た。



