せーしゅん。【短編集Ⅲ】




ゆかちゃんの消しゴムに書いてあったのは


他の男子の名前だったんだ。



僕だったら…


恋を知らない僕だったら


どうしようかと思った。



悪い気はしないけど。





「俺らの恋、おーわった」



キヤは大きく伸びをしながら


脱力する。



まるできっぱり諦めたように。




「僕、ゆかちゃんのこと


好きじゃないよ」



「ウソばっかりー」



キヤは僕の顔を見て


イーと威嚇する。



僕、本当に


ゆかちゃんのこと


好きじゃないのに…。