せーしゅん。【短編集Ⅲ】





帰り道は律義にキヤと一緒に帰った。



沈黙の道。



隣に居るのに一歩前を歩く


キヤを僕は追いかけるように歩く。




「…ごめん」


沈黙が耐え切れなくなって


一か八かで謝ってみる。



一種の賭けかも。




キヤは“いいよ”とも言わず


返答じゃない事を言った。





「ゆかちゃんに言った?」


「えっ、言ってないよ??」




キヤがゆかちゃんのこと好きって言ってない。



言おうとも思わなかったもん。





「そっか」