「シオンくんにしては素敵な理解力じゃないの!その通り!」

「帰る。」


服を放って部屋のドアノブを握った俺の肩を、マナミがガシッと掴んだ。

ものすげェ力で。


「ダメよ……あたしはキミの変身が一番楽しみなんだから……う腐腐腐腐腐」

「お前“ふ”を“腐”に変換してんじゃねェよ。そして俺は帰る。お前らには失望した。」

「ダメよ帰さないわ!」

「いってェ!肩壊す肩壊す!やめろ離せイテェっつってんだろ!」


マナミはたぶんバカ力だ。

コイツに捕まったら最後ってヤツだ。

俺はマナミに壊されかけた右肩を押さえながら、しかたなくドアノブから手を離した。

そんな俺の後ろで。


「シオンくんの肩、めっちゃ細い。強く握ったら壊れちゃいそうだわ……」

「うん。シオンの手首って、人差し指と親指がラクラク回るんだよ~」

「嗚呼……なんて儚げな少年なのかしら……」

「でも口を開けばただのバカだよな!ぎゃはははははっ!」

「お前にだけは言われたくねェ!」