特等席



「ちょっと、杏奈ぁー!」


「ごめん!気にしないで。どうせ彼氏いるんだしさっ、いいじゃん♪」


杏奈はそう言うと、私のズボンのポケットからタバコをとりだした。


「なにすんのよっ」


「そんなに足みせて……ズボン短すぎ!!まぁ、足細いアピールには十分ねっ♪(笑)」


「アピールしてないし、タバコかえしてっ!!」


「だーめっ」


杏奈は私のタバコを自分のバッグに入れると、ニコッと笑った。


「合コンおわったらね♪」


「はぁー」


私と杏奈も焼肉屋さんに入った。


席には、男の人が5人。そして、あの3人がいた。


「おまたっ」


杏奈は明るく言うと、席についた。


私は無言で席に着いた。


「それじゃあ、合コンはじめ~っ!!」


「よろしく~」


みんな(私以外)の声が重なった。

「まずは、自己紹介」


4人はハイテンションで自己紹介。そして、私の番。


「えっと、雅……。天道雅です。よろしく」


4人にくらべ、かなりはやく自己紹介をすました。


「オレ、二宮海人です。よろしく!」


私の次に自己紹介をした二宮海人という男は、少し照れながら笑った。


その人は、草食形っぽく、勉強が出来そうな黒フレームの眼鏡をしていた。
顔は……中の上。