特等席



気が付けばもう8時をまわっていた。
私は、「ノーメイクでいいよね……」とすっぴんで合コンに行くことにした。


翔ちゃんと美里さんに「ありがとうございました」と礼をすると、急いで待ち合わせ場所にむかった。


焼肉屋さんの前に着くと、中学の時の友達が4人いた。


「よっ!おっひさ~♪」


「あ!雅だっ」

「みーやびんっ♪」

「久しぶりだぁ!」

「雅っ!!!!」


4人の声が重なった。


4人ともかなり気合いが入っているらしく、メイクも服もバッチリだ。


「さすが、雅はノーメイクでも可愛いねぇ」


愛花が私の顔をまじまじと見ながら言った。
それに続き、うなずく3人。


「杏奈ってば!!こんな可愛い子連れてきたらダメじゃん!」


「バッカねー」


杏奈は3人に、「まだまだね」とつげるとべらべらとしゃべりだした。


「合コンでは、一番可愛い子は目の保養で役目終了なのよ」


「………」

「なんでっ!?」

「なんでえ?」

「なんで?」


「可愛い子相手だと、だいたいの男は“自分なんて相手にされない”“遊ばれるだけだ”って決めつけるの!つまーりっ!合コンでは、私達の勝ちってわけ」


勝ちってなによ!!!
私は心の中で突っこんだ。


「まじー!!?はやく中はいろっ♪」


いきなり上機嫌になった単細胞3人は、そそくさと焼肉屋さんに入っていった。