「ただいまぁー」
「おじゃまします……」
すると、奥からドタドタと大きな足音………
と、同時に翔ちゃんの彼女さんが満面の笑みを浮かべてやってきた。
「翔さん、お帰りなさぁ~いっ♪」
「ああ、ただいま」
「あら?妹さん?」
あ…あいかわらず美人~っ!
「こ……こ、こんにちはっ!私、妹の天道雅です!」
「あら、かしこまっちゃって………かっわい~い♪私は、柿原美里。よろしくね、雅ちゃん」
「よ、よろしくお願いします」
家は、こじんまりとしたマンションの一室……。
狭いといえば狭いかもしれないが、2人でくらすには、十分すぎる広さだった。
私は、日頃の家族のことを思いっきり愚痴った。
翔ちゃんは頷いたりしていた。
美里さんは、目を見開き驚きを隠せない様子だった。
「かわいそう、雅ちゃん」
「いや………」
「私達と暮らさない?気づかったりしなくていいから」
「いや、翔ちゃんにも言ったけど、本当に大丈夫です。なにかあったら彼氏の家に逃げ込むし……ホント、大丈夫っ」
翔ちゃんと美里さんは顔を見合わせていた。まるで、テレパシーでもしてるみたいだった。
にしても……こんな、美辞麗句のそろうカップルいないよ!
翔ちゃんもカッコいいし、美里さんは美人だし………
私、この2人の子供に生まれてくればよかったなぁ……
「なにかあったら、すぐに来いよ?いいな!!?」
「ありがと!」
私は無理矢理笑ってみせた。
笑うのって、こんなに辛かったっけ………?
