目の前の大好きな人が
発したたった一言が
私を絶望へと追い込む




「彼女出来たから」




南?





何言ってるの?




私は何も言えずに
うつむいたまま



頭がぐるぐる回ってる




「じゃぁ、俺ら行くから」




そう言うと南は
彼女の手を引いて
私の前から離れていく





彼女は少し笑って
私に軽くおじぎする




私よりずっと美人で大人っぽい人






南、昔からモテてたし




しょうがない






彼女ぐらいできたって
おかしくない




頭では分かってるけど





認めたくなくて




混乱と悔しさと驚きとで
何がなんだか分からない






やばい



泣きそう…





「南のバカ」






もうすでに遠くに
いってしまった



彼女と手をつなぐ南
の背中につぶやく






バカは私だ





いつかこうなる事は
十分に想像できたはずなのに





勝手に期待してたんだ





南は告られても
断ってる事が多かったし





今までも彼女がいた事は
何度かあったけど




あんまり本気な感じ
じゃなくて





なんか安心してた






南が私を好きだとは
思ってないとしても






ずっと一緒にいられる
ってそう思ってた