「えっ?」 「あの山の向こうに夕日が」 「ほんとだぁ………。 とても綺麗ですね………」 葉山さんの指差す先に見えた窓越しの綺麗な夕日に、思わず感嘆の声が洩れた。 オレンジと赤のグラデーションがとても綺麗。 「………お前、専属は藤堂家だよな?」 不機嫌そうに城ヶ崎潤が葉山さんに訊いた。 「左様でございますが」 「んじゃ、早くこの車から降りてもらおうか」 「はっ!?」 ニヤリとニヤけながら、そんなこと言い出すもんだから背筋に悪寒が走る。