初めて乗る、先生の車。
運転している先生はとてもカッコいい。
「……そういえば、桜井。」
「はっふぁいっ?」
突然話しかけられたので変な声が出てしまった。
(先生の前で恥ずかしい…っ)
「〝ふぁい?〟って…プハッ、何だよそれ。」
先生が笑う。
あーもう、先生!その顔反則だってば!!
「もー、聞かなかったことにしてくださいよー!
あ、それで何ですか?」
「……いや、なんでもない。それより、お前家どこ?」
「あ、はい。そこを左に曲がって……」
先生が言いかけた言葉が気になったけど、あたしは聞かなかった。
ねえ、先生?
あたしがこのとき、先生に聞き返していたら、こんなにも遠回りしなくてすんだのかもしれないね。
