翌朝もぽつぽつと


雨が降っていた。


カーテンを開けた窓越しには


どんよりとしたグレーがかった


空が広がっていた。


ダイニングテーブルの上に


置いてあった携帯が


ブルーに点滅しているのが


見えた。


「メールが来てる。美姫かな?」


2:14 上野 克己


「酔ってマス。


愛子さんが活躍するところを


近くで見られない


上野を許してください。」


写メール  カラオケの字幕


~道 君と歩いた今日まで


かすかに動く唇 特別な


時間をありがとう~





心臓がばくばくと


大きな音をたてた。


「本当に、来月には遠くに


行ってしまうんだ。」


今更になって、また重く


グレーな憂鬱が心の中に


のしかっかてくる。