「同情なんかじゃなくて、本気で藤井のことが好きなんだ……」
「でもあの時、先生は困った顔してた……。私にあんなこと言われて迷惑なんだと思ってた……」
「違うよ……。冗談だと思ったんだ……。でも本気だって聞いてビックリしただけなんだ。それに迷惑だなんて一言も言ってないだろ?」
「そうだけど……」
私の体を抱きしめる先生の腕に力が入る。
「気持ちを伝えるのは卒業式の後だって決めてた。ああいう形じゃなく、自分の口からちゃんと言いたかった。だから藤井をここじゃなく家に送ったんだ……」
「先生…………」
「でも、卒業式までに藤井には会えないし……。就職先が決まらなかったら永久就職するって言った藤井の言葉が頭を過ぎって……。卒業式までに男が出来て、本当に好きでもない男と結婚したらって思ったら……怖かったんだ……。で、気付いたら藤井の家の前にいて…………」
「ズルイよ……先生は……ズルイよ……。私………んっ……」
突然、先生の唇が私の唇に重なった。
私……今……先生とキスしてる……。
ファーストキス――。
私にとって初めてのキスは、大好きな先生とだった……。