「藤井?俺の話聞いて?」
私は頭を左右に振った。
「いいから聞いて?」
スカートを握っていた私の手に先生の手が重なって、先生は私の手をギュッと握った。
「世間では、教師が生徒を好きになるのは許されないことなんだよ。でもな、俺は教師である前に1人の男なんだよ。男が女を好きになるのは普通のことだろ?」
私は何も言わずに俯いたまま“コクン”と頷いた。
「俺が、好きになった人は……世間では許されない人だったんだ……」
「えっ?」
私は顔を上げて先生を見た。
世間では許されない人?
先生が好きになった人は生徒?
「一目惚れだったんだ。でも好きになった子は、授業中に居眠りはするし、俺に対してタメ口で話すしさぁ……」
それって…………。
「でもな、その子の笑顔が可愛くて……その子を見るたびに胸がドキドキして……」
私のこと?



