紅茶の入ったマグカップを持って、先生が部屋に戻ってきた。
テーブルにマグカップを置いて、先生はベッドに座った。
急に静かになった部屋。
何を話せばいいんだろう……。
マグカップの中の琥珀色の紅茶を見つめながらそんなことを考えてた。
「なぁ、藤井?」
突然、先生に呼ばれて体が“ピクッ”となった。
「な、何?」
目線をマグカップから先生に移す。
“ギシッーー”
先生がベッドから立ち上がって私の傍に来たと思ったら、後ろからギュッと抱きしめられた。
マリン系の甘く爽やかな香りが鼻を掠めた。
「これが……俺の答えだから……。ここに連れて来たのが俺の答えだから……」
先生は私の耳元で甘く囁くようにそう言った。
「えっ……」
うそ……。
私は両手で口を押さえた。
目から一筋の涙が流れた。



