「どちら様ですか?」
玄関を開ける前に誰なのか確かめる。
お母さんやお父さんが家にいない時にはいつもこうしてる。
「…………藤井?俺、水川だけど……」
「えっ?」
先生?
何で先生が?
私は急いで鍵を解除して玄関のドアを開けた。
玄関を開けると、少し俯いた先生が立っていた。
“ドクン――”
胸が高鳴る。
「…………先生?どうしたの?」
私がそう言うと、先生は顔を上げた。
「……うん……あのな……」
先生はそう言うと、私の手を掴んでそのまま私の体を引っ張った。
えっ?な、何?
何が起きたのかわからなくて……。
マリン系の香水の香りが鼻を掠めた。
えっ?
顔を上げると、先生が私の顔を見下ろしていた。
体がギュッとキツクなる。
うそ……。
私、今、先生に抱きしめられてるんだ……。



