「お前さぁ、どうすんの?」



先生は、いかにも“情けない”と言わんばかりにそう呟いた。


なーんだ。


期待外れ。


狭い進路指導室。


壁にもたれ掛かった先生は腕を組み、椅子に座っている私を見ている。


先生の名前は水川成(ミズカワ ナル)


長めの黒い髪、切れ長の目、筋の通った高い鼻。
綺麗な手、長くて細い指。


スーツが似合う25歳。


私のクラスの担任。


私は先生が好き。


どうしようもないくらい好き。


去年の4月、他校から異動してきた先生。


私は先生を見た瞬間、恋に落ちた――。