「藤井……」


「先生?先生の口から返事は聞かない……」


「えっ?」



先生がチラッと私を見た。



「もし先生が私の気持ちに応えてくれるんだったら先生の家に連れて行って?もし私の気持ちに応えられないなら……。私の家まで送って?」



信号待ちで止まった車。


先生は何も言わず、私を見ていた。



「私、寝るから着いたら起こしてね」



私はそう言って、座席を倒した。



「ちょっ!藤井!?」



慌てる先生。


私は何も言わず、先生に背を向けて目を閉じた。


先生の舌打ちが聞こえて、車は動き出した。


明らかに困った顔をしていた先生。


答えはわかってる。


先生の口から聞くのが怖かった。


でも、ほんの少し1%でもいい。


望みがあるなら、だから賭けに出た。