「わ、私、帰るね」



進路指導室から早く出たかった。


この気まずい空気の中から抜け出したかった。


椅子から立ち上がり、前方に見える窓の外へ目をやると……。


うそ……。


最悪。


外は、ドシャ降りの雨だった……。



「先生?学校にある置き傘を借りて帰っていい?」



先生と目が合わせられない。


私は先生の方を見ないで、窓の外を見ながらそう言った。



「えっ?」



先生は椅子に座ったまま窓に体を向けた。


私に言われて初めて外がドシャ降りの雨だって気付いたみたい。