私の兄は、アイドルです。

 



怒鳴ったら、お腹に響く。


ウザい。ウザい。

このバカ兄!!
このバカ兄っっ!!!


また、涙が出そうになった。




けれど、本番前だというのに……

私からコーラゼロを奪い取ったバカ兄は、
呑気にもそれ飲もうとペットボトルのキャップを捻った。




プシッ

ぶわぁぁっ!


「ちょっ、オイ音遠!
お前……コーラゼロ振りやがったな!?
俺様の手がビショビショじゃんか!」


「あっ!ごめん……!」



とっさに謝る。

多分さっき落としちゃったせいだ……!


コーラゼロは、ペットボトルの口から勢い良く溢れ出す。

お兄ちゃんの手と床はビショビショ。


でもとりあえず、衣装が濡れてなくて良かった。




「ったく、何の嫌がらせだよお前。
全く……使えねぇなぁ」



「……っ……!」




――その一言で、さすがの私ももう限界。




お金の為とはいえ、毎日毎日コキ使われて。


休みなく雑用係して

走り回って


我慢して我慢して頑張ってたのに、

見知らぬファン達にリンチくらって。


めちゃくちゃ痛いし怖い思いして買ってきたコーラゼロを……

そして私を……


そこまでけなすなんて。