―――――
「あれ、遅かったね?
音遠ちゃん」
「本番まであと10分……」
「ごめんなさい、豊さんに優希さん」
結局私は、本番ギリギリに戻った。
お腹が痛くてなかなか動けなかったし、涙が乾くのを待ってたから。
もう既にステージ裏でスタンバってるメンバーに、一応それぞれ飲み物を渡した。
休憩の合間やコンサートが終わった時に飲んでもらえるようにね?
その時、片隅でストレッチしていたハルさんとお兄ちゃんが私の元にやって来た。
「ぅおっと、音遠遅かったな?
けどサンキューな!」
「ハルさん……遅くなってごめんなさい」
「いーよいーよ!」
謝る私に向かって
ニカッと笑いながら飲み物を受け取るハルさん。
……やっぱり優しいや……
でも
ハルさんは優しいのに。
ハルさんは……優しいのに!!
「飲み物買いに行くだけなのに、一体何分掛かってんだ。
お前は幼稚園児か。
このノロマ。亀。」
…………。
「嫌なら飲まないでよ!」
人の気も知らないで……
好き勝手言わないで!
