「そうですけど……
渡さん、どうしたんですか?」



電話を掛けてきたのは、
BIG4のマネージャーである 渡さんだった。




『いや、さ……?
珍しく直人がミスを連発しててね?』


「えっ……バカ兄……いや、お兄ちゃんが?」



電話口の渡さんの声はどこか焦ってて、
しかもテンションが低かった。


バカ兄……
一体どうした!?




――お兄ちゃんは完璧な人だから、滅多にミスとか失敗をしないんだ。


レッスンをいつ見ても、歌もダンスも完璧で。



お兄ちゃんの事が嫌いな私でも、その点は正直羨ましい。


そんなお兄ちゃんが……ミス連発?




『でさ、直人って音遠ちゃんがいたら調子良くなるんだよね。最近さ?』

「はぁ?」



渡さん……何言ってんの?
調子乗る、の間違いじゃないの?




『だから……申し訳ないんだけど音遠ちゃん。
今からホールまで来てくれないかな?』



はぁ!?

「え?あの……」



『じゃあね!音遠ちゃん頼むよ!』




プツッ


ツー ツー ツー……




返事も聞かずに切れた電話に



「はぁぁぁあっ!?」



取り敢えず、叫ぶしかなかった……





―――――
――――