私の兄は、アイドルです。

 



音遠……


………ごめん、な?




キッチンのテーブルの上には、

きっと今朝作ったであろうハンバーグが用意されていて。



その横に添えてあるメモには

“温めて食べてね”

って、女の子独特の可愛らしい字で書いてあるから。



……俺は、グッと目頭が熱くなった。




もしかして、

毎日こうしてくれてたのか?


俺が出て行ってから、

毎日。




ご飯を用意してくれて、

メモ書きを添えてくれて。




帰ってこないのに、

帰ってくる事を信じて。




俺を……

待ってて、くれたのか……?




……バカだな、音遠。


俺と同じくらい……


…………バカだ。




「ははっ……」



もしかしたら、

まだ間に合うのかもしれない。


自らの手で壊してしまった2人の関係だけど



もしかしたら……


音遠は、

俺が思っている以上に
強いのかもしれない



“万が一”の可能性に
かけてみようか。



明後日は、音遠の誕生日だから。



出来るなら……

……2人で一緒に、
過ごしたい。





封筒の封を開け、
中からチケットを一枚取り出し。



静かにソファ前のテーブルに置いて



『一番前のど真ん中だから。』



そう、メモを添えておいた。





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