私の兄は、アイドルです。

 



リハーサル中に飛び出すなんて

プロ失格かな?
俺って。





……今回のコンサート、

音遠にチケットは
渡したくなかったんだ



っていうより、

音遠に会いたくなかったんだ



会うのが怖いし、

自分の感情が抑えられなくなりそうだから。




けど……


……どうせなら、
見てほしかったな。





―――――




バンっ!



「はぁっ……!」



タクシーから降りるなり、
勢い良くマンションのエントランスまで走っていき。


壁に手をつき、軽く息を吐き出して。


自分の部屋の郵便ボックスの鍵を、恐る恐る開けた。



音遠……まだ帰ってきてないだろうな……?


もし……ここにチケットが無かったら……



焦る気持ちと不安が半々で蓋を開けると……



そこには……





良かった……
間に合った。



俺の事務所の名前が印刷された封筒が、1つ入っていた。


幸い、音遠はまだ帰って来てないみたいだ。




「はぁ……」



安堵の溜め息を吐いた俺は、

せっかくだから自分の部屋に帰ってみる事にした。


コンサートスタッフを待たせてるって事は、よく分かってる。