私の兄は、アイドルです。

 




「あっ、開場だってさ!
音遠行こうぜ?」




春さんが元気にそう言うから。




「うんっ……じゃあね、澪……」



私は……澪に挨拶して別れた。




「またね?音遠」




──そのにっこりと笑った澪を見て。



何故だろう……

……胸騒ぎがして、ならなかった……──





────





ザワザワと、うるさいくらいに満席の会場。


熱気とか興奮とか、そういうのが凄まじい。


この人達みんなが、
お兄ちゃんの事大好きなんだね……



複雑な気持ち。

全く初めての感覚だよ。


凄いな……コンサートって。




私と春さんは、
チケットに書かれた座席へと向かった。





「一番前……しかも一番端っことかっ!」



「直人がこの席わざわざ取ってくれたんだぜ?

俺らがファン達にバレないように、わざわざさ?」



「そうなんだ……!」




確かに、端っこならバレにくい……のか?



本来なら、私の席は優希さんと豊さんが座るハズの席。


まぁ……
今は1つ空席だけどね?


私達の座席は、
このだだっ広いホールの最前列の一番端っこだった。