私の兄は、アイドルです。

 



少し潤んだ私の瞳を見てか、

春さんが私の顔をのぞき込もうとした時……





「っ、ハル!?」




突然、澪が叫び声(に近いくらい大きな声)で
春さんを指差した。



瞬間、バッと周囲の人々の視線が春さんに集まる。




「ちょっ、キミ声大きいって……!」



春さんが即座に慌てて建物の隅に隠れ、

澪に向かってそう言うと。




「あっ、私ったらごめんなさい!
ですよね、バレたらマズいですもんね!
でも……どうして2人が?」



私に向けた態度を一変させ
顔を真っ赤にした澪は、

春さんと私に問い掛けた。




「あぁ、一緒に観に来るって約束してたんだよ。
な、音遠?」



「うんっ、春さん」



笑顔の春さんの言葉に、
私が大きく頷くと。





「なんか……可愛い。

2人って恋人同士みたいですね……?」





──クスクス笑いながら言った澪の言葉が、


心に突き刺さった。





澪、さ?

今、それ言うかなぁ?





「ははっ、んなワケねぇよ!な、音遠!」



「う、ん……」




笑い飛ばしながら言う春さんを……



……直視出来ない。