──そうして、
バイクはコンサート会場まで走り出した。
風を切る、2人。
気まずさを吹き飛ばすように、
バイクは走る。
振る側よりも
振られた側の方が
もちろん、辛い。
きっと何倍も、
辛いハズ。
きっと春さんは
私以上に
悩んだかもしれない。
けど、こうして今
2人でバイクに乗ってる。
ギュッとしがみつく事は
出来ないけど……
……私は、腰を持つ手に力を込めた。
ごめんね、春さん……
……私なんかを
好きになってくれて……
そして
ありがとう……
こうして
普段通りに
優しく接してくれて。
────
「はー……スッゴいねぇ……!」
「まぁな、さすが直人だよな!
初のソロコンサートでこの盛況ぶりは……
本当にすげぇよ」
コンサート会場付近に着いた私達は、
バイクを近くの駐車場に停めて会場入り口に向かって歩いていた。
「一体ここに何人いるんだろう……」
ポカンとした顔で辺りを見渡した私。