理想的な“良いお兄ちゃん”の春さんは、


遊んでたら
(っていうか買い物付き合ってるだけなんだけどね)
めちゃくちゃ楽しくって、

いつも笑顔でいられるんだ。



っていうか……

優希さんと豊さんは仕事だけど、春さんはオフなんだ?




「……みんなスケジュール違うんだね?」



私がそう、首を傾げながら問い掛けると。




「はぁ……音遠って本気で鈍いのな?」



「へ?」



そう呟いた春さんは、
黙ったかと思うと

どこかに向かって歩き出してしまった。



え……

なんか私、怒らせちゃった?
悪い事言ったかなぁ?



とりあえず、
付いて行こう……!




黙ったままの春さんは、

私の歩くペースに合わせてくれながらも
スタスタと歩いて。


人通りの少ない路地まで歩くと、
そこでピタリと足を止めた。




そして……




その整いすぎている
綺麗な顔で

真っ直ぐな瞳で


ジッと私を見つめ



ゆっくりと
低くて真剣な声で



……私に問い掛けてきたんだ。





「…………音遠てさ、
……好きな奴とか……
いてねぇの?」