──それはそれは、10年ほど前の事。

今より少し、昔話。




俺が11歳、音遠は5歳。



数十年に一度の流星群がやってくると言われた日。


いつものように母さんは仕事で、
家には俺と音遠の2人きり。




『お兄ちゃん~…
ねおん眠いよぉ……』


『何言ってんだよ、音遠。
お前一週間も前から流れ星見るの楽しみにしてたじゃんか』




その時の季節は、丁度秋も深まってきた頃で。


夜が長いからか、
音遠は普段よりも寝る時間が早かった。



子供にしたらもう夜も遅い時間に、

俺達2人は少し震える体を毛布で包みながらベランダに座る。



俺は、膝の間に音遠を座らせ、
ただただ夜の空を見ていた。




――真っ暗な空に瞬く、
無数の星は。


まだ子供な俺の心を、
キラキラと照らす。




『でもぉ……ねむいよぉ~……』



眠そうに目を擦りながらぐずる音遠を見て。


純粋に、可愛いと感じる。



そう思う俺は……

きっと、汚れている。



子供だけど、

この感情が汚いという事は分かるんだ。



きっと俺は……

……バカだ。