──その日1日私は、

授業をサボり放課後までずっと保健室にいた。


こうして丸一日サボるだなんて……初めてかも。



澪の顔を見るのが怖くて、


もし見たら、

ドロドロした感情が溢れ出して
止まらなくなりそうだから……


……私は、こうして逃げたんだ。





『下校時刻になりました……』


放課後のアナウンスが保健室に流れ、
仕方なく私は重い足取りで教室に戻る。


夕方の廊下はもう人もまばらで。




「はぁ……」



なんだか……
ストレスで、円形脱毛症にでもなりそうだよ……

軽く溜め息を吐きながら
教室に入ると……





ガラッ




「あっ、音遠大丈夫~?」

「待ってたんだよ!
駅まで一緒に帰ろ~!」



……やっぱり、
いつも通りの優しい笑顔で迎えてくれた美夜と沙那がいた。




「美夜……沙那……!」



「「何よ音遠、そんなに満面の笑みで」」



私の声に、2人は声を揃えて不思議がるけど……



……ありがとう。
2人とも。


こんな優しい友達がいて。


少し、救われた気がした。





「……れ、澪は……?」



そして……澪がいなかった。