私の兄は、アイドルです。

 




「あははっ、ナオトさんってやっぱり面白いですねっ?」


「そうか?っていうかそんなに笑うなよ、澪」




隣のリビングから聞こえてくる楽しそうな声を聞いて……




…………ズキン



私の心は、またヒドく痛む。




お兄ちゃん……
いつの間にか……澪の事呼び捨てで呼んでるし。



そういえば……

前に澪のコト『タイプだ』って言ってたし……



澪の声も、聞いた事ないくらいに甘ったるいし……




グルグルと巡る、真っ黒な渦。


汚くって、ドロドロだ。




澪と喋らないで、だなんて。

澪に笑いかけないで、だなんて。



欲しい物を誰かに盗られるのが嫌な
駄々っ子の幼稚園児みたいな考え、バカみたい。



そんな考え、捨てなきゃ。


……早く忘れなきゃ。




けどね。


忘れようと必死に努力しても……


……人を好きになるって気持ちはなかなか忘れられない。





痛む胸、痛む心。





ポロッと、一筋の涙が零れ落ちた。





この涙の意味って
一体何なんだろう。