私の兄は、アイドルです。

 



けど……




「あ、もう大丈夫だから……」



どうしてだろう



澪の目の前では、
お兄ちゃんに触れられたくなくて……


私は、ふいっと顔を逸らした。




すると、隣からクスクスという笑い声が聞こえてきた。




「優しいんですね、お兄さん。やっぱりシスコンなんだ!」


「笑うなよっ、それに俺シスコンじゃねぇし」


「えー、だってぇ!」





――ズキン。



痛い。痛いよ?




余りにも普通に話す2人。


普通に、話してる。



笑う澪の頭を、軽く小突くお兄ちゃん。


喜んでる澪。




澪、私ね?

澪のコトが……


……さっぱり分かんない。





するとお兄ちゃんは、
テーブルに目をやった。




「おっ、ケーキだ!
これ、音遠に?」


「あははっ、なんだか瞳輝いてますよ?

少し買いすぎたので……
良かったらお兄さんも食べて下さいね」





――ズキン。



胸が、痛い。




……全部、計算してたの?


お兄ちゃんが帰ってくるかもって……分かってたの?


甘いものがめちゃくちゃ大好きだってコトも、
知ってたんだね……?