誰だろ?
お兄ちゃんかな?


ベルが鳴るって事は……
入り口のセキュリティーを通ってきた人だよね?



そんな事を少し考えながらもドアを開けると……




ガチャ




「はい……」




「音遠っ、お見舞いきちゃった!」




……ドアの前には、
制服姿でケーキの箱を持った澪が、満面の笑みで立っていた。





「れ、澪……なんで私の家分かったの……?」



私の家は……
友達や知り合いは、ほとんど誰も知らないハズ……



唯一知ってるのって言えば、
お母さんと渡さん、
お兄ちゃんの事務所の社長さんとBIG4のメンバー、
そして私の学校の先生だけだし。





脳裏に、昔の出来事が蘇る。



私の住所を探し出し、
無理やり押し掛けられ、

そしてお兄ちゃんと仲良くなろうとする……



少しだけ、澪に不信感を覚える。





「え?だって音遠が心配だったんだもん!
先生に頼み込んでね?住所教えてもらっちゃったんだ」



ニコニコと笑顔で話す澪は、友達想いの優しい子なんだろう。



――けれど、私の心から警戒心は……消えない。