また悪臭で歯無は目が覚めた。

 すぐに鉄格子の外に出ると、元の場所に戻されていたのだ。

 そして、フランスパンと水が鉄格子の中に無造作に置いてある。

 歯無は一刻も早く、逃げ出したい衝動にかられた。

 逃げたい。そのことしか頭にはない。

 何か方法はないかと、考えた。

 ない。

 ロボットは必ず現れる。

 逃げ切れないと言うことは、おそらく歯無の体内に探知機のような物がインプラントされているのだろうか。

 だから、戸度橋が何度逃げても捕まるのだ。