歯無は肌の露出している足首からジーンズで隠れている太ももを想像した。

 細い。

「何でしょう?」

 歯無は女性が何度も問いかけているのに気がついた。

「これ……」

 歯無はハンカチを突き出すと、女性は素早く奪い取った。

「私は……ていじん恐怖症なので……」

 ガチャン!

 女性はお礼も言わず、ドアは閉められた。

 歯無は残像音を耳に残し、表札を見たが、無記名だった。

 女性の言っている意味がわからなかった。