歯無は鉄格子の中を再度、観察しながらであった。

 やはり人はいない。

 人がいても、何もやることがないから、寝るしかないのだ。退屈で死にそうだ。

 歯無は『EXTt』に近いところの鉄格子には前回の色々と教えてくれた人はいなかった。だから、そこの中に入った。

 鼻が慣れたのか、いや、そうではない。悪臭はしなくなった。

 無臭なだけで、歯無は快適だと思った。

 でも、やることはない。

 寝るしかないのだ。

 冷たいコンクリートの上で、歯無は寝た。