薄暗い。

 悪臭だ。

 歯無はゆっくりと、目を開けた。鉄格子が見えた。また戻って来たのだ。

 チテイジン国の『レベル1』だ。

 歯無は鉄格子の外に出た。前回同様に簡単に出られるのだ。『EXTt』の文字もだいぶ先にある。

「エリマキ、コウさん!」

 歯無は『レベル1』にいるとは思えないが、叫んだ。

 やはり反応はなかった。

 縦長に広いし、多数収容出来るので、見落としもあるだろし、寝ている可能性もあるのだ。

 歯無は『EXTt』に向かって歩きながら、江利牧の名前を連呼した。