部屋の中に気配を感じて、ドアが動いた。

「あの……」

 歯無は何を言うか逡巡した。

 ギッー

 と、ドアはゆっくりと開いた。

 二十センチほどの隙間から、人の顔が薄っすらと現れた。

 無気味さにギョッとした歯無は金縛りのように身動きが出来なかった。

「何でしょ?」

 ドアからのぞかせている輪郭がはっきりすると、色白で美人ではないが、細身の二十代前半の女性がいた。

 歯無の視線は下半身を見ていた。

「何でしょ?」