高いビルとビルの間にいる歯無は手を伸ばせば届きそうなので、この歩いている道幅は三メートルくらいだろう。

 疲れきった体を無理して、歯無は道路に向かって走ったのだ。

 車はビュンビュンと歯無の目の前を走り去って行く。

 歯無は体力の限界だった。手を上げて、タクシーを停めて、後部座席に乗りこみ、すぐに自宅の住所を運転手に告げると、疲れていたので眠った。